東京都江東区の豊洲市場で5日、初競りが開かれ、仲卸の「やま幸」と「鮨 銀座おのでら」を展開するオノデラグループが共同で、212キロの青森県大間産クロマグロを最高値の3604万円で競り落とした。前年の約2・1倍で、記録が残る1999年以降では6番目。初競りでは「やま幸」のほか、「すしざんまい」を運営する「喜代村」が注目を集めてきたが、今年は新興勢力が出現。一番マグロを巡る「戦国時代」入りが鮮明になった。
この日、落札者と最後まで競り合ったのは、完全予約制の寿司食べ放題店「有楽町かきだ」と「みこ寿司」、仲卸「山治」による連合チーム。初参戦で3392万円まで競り続けたが、落札はかなわなかった。
かきだは昨年7月に期間限定で開店したばかりで高級食べ飲み放題が売り。実は転職エージェント会社が運営する変わり種で、YouTubeなどで寿司の握り方を学んだ蛎田一博社長(32)が大将。スポニチ本紙の取材に「年始で注目されるタイミングでマグロを買ってみたかった。ロマンがある」と一番マグロを狙った理由を説明。新風を運んで業界を盛り上げたかったとも述べた。早くも来年の参戦を表明し「死ぬまでに一番マグロを競り落とせたら」と話した。
市場関係者によると、埼玉県を拠点に関東全域に展開するスーパー「ベルク」も一番マグロを競り合った。初競りで大間産マグロを求めるのは仲卸業者がほとんどだが、ベルクは21年に初参戦。昨年はやま幸と一騎打ちを繰り広げた。結果的に2番目に重いマグロを競り落とし、埼玉県や千葉県など約10店で販売。刺し身用にして1パック(2~3人前)1000~3000円で提供した。今年は青果を扱う大田市場で、野菜が乗った縁起物「宝船」の初競りにも参加。競り落とした宝船は、千葉県のフォルテ津田沼店に展示された。
一番マグロを巡る争いは2012年から“喜代村時代”が長く続いたが、2年前から“やま幸時代”に突入。ここに新興勢力が加わり群雄割拠の時代へ移ることになりそうで、やま幸の山口幸隆社長(60)は「今年はまるっきり予想もしていなかったところと競り合った。難しい時代だ」と語った。
◇有楽町かきだ 30歳以上1万3000円、30歳未満1万円、10~20歳未満5000円、10歳未満は無料。決まった1コース終了後、食べ放題(飲み放題付き)になる。蛎田氏が本業で培ったSNS戦略で「日本一バズってる店」と話題になるなど集客に成功し、短期間で予約困難店になった。23日に店舗を表参道へ移転する予定。すでに4月までは予約が埋まっている。
◇ベルク 1959年に埼玉県秩父市で創業。ローカルスーパーだったが徐々に店舗数を増やし、現在は群馬県や埼玉県、千葉県など関東1都6県で約130店舗を展開する。ほとんどの店舗が広い駐車場を持つ郊外型の大型スーパー。2006年にイオン持ち株会社と提携。現在の社長は創業者の孫で4代目の原島一誠氏。
≪解体され早速提供≫一番マグロは東京都渋谷区にある銀座おのでらの系列店で解体された。握り寿司で8000貫分ほどになるといい、午後には都内の複数店舗でトロと赤身のセット(1040円)が1人1皿限定で提供された。
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