エーザイのアルツハイマー薬治験で認知低下抑制効果、一部リスクも

エーザイと米製薬大手バイオジェンが共同開発するアルツハイマー病治療薬「レカネマブ」の臨床試験で、認知機能の低下を遅らせる効果が示されたことが、29日に公表された新たなデータで明らかになった。ただ、特定の患者に危険な副作用のリスクがあることも示された。

この試験では患者の12.6%にある種の脳浮腫が見られた。この副作用は以前に類似の薬剤でも見られている。

また、14%に脳微小出血が出現した。この症状は最近行われた後続試験でレカネマブの投与を受けた2人の死亡例と関連している。5人は大出血を起こした。

両社は9月、早期アルツハイマー病患者約1800人を対象とした臨床試験で、レカネマブ投与群が偽薬(プラセボ)投与群と比較して27%の症状悪化抑制を示したと発表した。

メイヨー・クリニック(ミネソタ州ロチェスター)のロナルド・ピーターセン博士は「これらの抗アミロイド薬は全て脳出血増加リスクを伴う」と指摘。「当初成果、2次成果、抗アミロイド作用はかなり印象的だと思う」と述べた。

アルツハイマー協会は今回のデータについて、この治療薬が「アルツハイマー病の初期段階にある人々の経過を有意に変えられる」ことを示したと指摘。米規制当局に対し、会社側による早期承認申請を承認するよう要請した。

エーザイの株価は30日午前の東京市場で3%上昇し、バイオジェンの株価は時間外取引で0.9%上昇した。

医学誌「New England Journal of Medicine」に掲載された本試験論文の共同執筆者で、南カリフォルニア大学アルツハイマー病治療研究所所長のポール・アイセン博士は「私は(レカネマブの効果が)全面的な承認を正当化する重要なベネフィット(利益)であると信じている。しかしもちろん、われわれはより大きなベネフィットを欲している」とした上で、レカネマブは病気のより早い段階で投与されればより大きな効果が得られる可能性が高いと語った。

試験の詳細なデータは、サンフランシスコで開催されているアルツハイマー病臨床試験会議で発表された。

米食品医薬品局(FDA)は来年1月6日までに、レカネマブを「早期」審査プログラムの下で承認するかどうかを決定する予定。この決定とは関係なく、エーザイは通常のFDA承認申請を近いうちに行う方針で、欧州と日本での承認も求めるという。

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