新型コロナウイルスのオミクロン株に対応したワクチンの追加接種が、早ければ今月中旬から始まる見通しになった。今後自治体にワクチンを配送したうえで、4回目の対象となっている高齢者や医療従事者から開始し、その後2回目までの接種を終えた全ての人(12歳以上)に対象を拡大する方針だ。
厚生労働省の予防接種・ワクチン分科会が2日、接種計画の概要を了承した。加藤勝信厚労相は記者会見で「オミクロン株対応ワクチンは従来ワクチンに比べて重症化予防効果や、短期間の可能性があるものの感染予防効果や発症予防効果が期待される。今後の変異株に対しても、有効である可能性が高いと期待される」と述べた。
米ファイザーと米モデルナは、従来株とオミクロン株の「BA・1」由来の成分を含む「2価ワクチン」を開発し、それぞれ厚労省に承認申請している。今月半ばの厚労省の専門部会を経て承認され次第、接種を開始する。当初予定していた10月半ばから前倒しし、4回目の接種対象者から優先して始める。
4回目接種は現在、3回目接種から5カ月以上が経過した、60歳以上の人▽18歳以上の基礎疾患がある人▽医療・介護従事者ら――が接種の対象となっている。厚労省によると、1500万人程度が未接種という。
自治体は4回目の対象者への接種が終わり次第、10月中旬を待たずに、医療・介護従事者以外のエッセンシャルワーカーらに対象者を広げることができる。接種は無料で、既に届いている接種券を使える。
オミクロン株対応ワクチンは3回目以降の追加接種が対象で、現状では1、2回目の接種はできない。2回目までは従来のワクチンを接種する必要がある。今後、オミクロン株対応ワクチンへの切り替えが進んでも同じ接種会場で従来ワクチンの接種も継続される。
国内では「BA・1+従来株」の2価ワクチンとは別に、従来株に加え「BA・4」「BA・5」に対応した2価ワクチンについても承認申請の動きがある。米国ではファイザー、モデルナ製について緊急使用が許可されており、国内でも早ければ今月中にも承認され、10月から使用可能になる見通しが出てきた。
オミクロン株対応ワクチンの接種について、専門家は「(BA・1やBA・5など)オミクロン株の亜系統間の抗原性の差は大きくないため、利用可能となるオミクロン株の成分を含むワクチンへなるべく早く切り替えることが適切だ」としている。
一方、分科会は5~11歳の小児を対象にした3回目接種について、予防接種法に基づく臨時接種に位置づけ無料接種することを了承した。使うのは従来の小児用ワクチン(ファイザー製)で、2回接種から5カ月以上が経過した全員が接種を受けられる。
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