北大西洋条約機構(NATO)は29日、マドリードで開幕した首脳会議で、北欧のスウェーデンとフィンランドの加盟議定書に署名することに合意した。
ロシアのウクライナ侵攻を受けて、長年の軍事的な中立政策からの脱却を決断した北欧2カ国が、31、32カ国目の加盟国となることがほぼ確実となった。欧州の安全保障は大きな転換点を迎える。
会議では、向こう10年間のNATOの行動指針を示す「戦略概念」も12年ぶりに改定。ロシアを安全保障への「最大で直接的な脅威」と位置付け、欧州東部を中心にNATOの防衛態勢を長期的に大幅増強することを確認した。さらに覇権主義的な動きを強める中国に初めて言及し、「野心と威圧的政策は、われわれの利益や安保、価値観に挑戦している」と指摘。ロシアに次ぐ戦略の柱に据え、対抗姿勢を明確にした。
会議は30日まで2日間の日程。ストルテンベルグ事務総長は29日、記者会見し「われわれの安保にとって極めて重要な時を迎える中、同盟を変革し強化する決定を下した」と語った。
北欧2カ国加盟をめぐっては、両国の「テロ組織支援」などを理由に反対していたトルコが28日に支持に転じ、承認に必要な全加盟国の同意にめどが付いた。ただ、正式加盟には今後、各加盟国での議定書批准が求められる。少なくとも数カ月はかかるとみられており、各国議会などでの議論が難航する可能性もある。
一方、戦略概念では「対中ロ」を念頭に日本と韓国、オーストラリア、ニュージーランド4カ国などのパートナー国と、国際秩序維持で連携を深めることも明記した。29日の一部討議には、岸田文雄首相ら4カ国の首脳が初めて参加。民主主義陣営の結束を示した。
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